カテゴリー: ハーバードビジネスレビュー

“Purpose”- グローバル企業経営者のHot topic

Purposeを経営戦略の中核に据える。これだけで「なるほどね」と頷いた人は、経営に関するアンテナを相当高く維持していると思う。

Purposeとは、言葉通り目標・目的。企業が、自社のビジネスを活用して、社会課題の解決を目指すことをいう。国連によってSDGsが定められ、企業投資においてもESG(環境・社会性・コーポレートガバナンス)が世界のファンドの投資基準としてスタンダードになりつつある今、企業の社会的責任が今まで以上に問われている。

企業の社会的責任、というと、ひと昔前のCSR(corporate social responsibility)という言葉を思い出すが、PurposeとCSRは全く違う。CSRは、一般的に建前として、企業の体裁を取り繕うための「コスト」でしかないが、Purposeは企業の戦略を方向づけるものであり、より強い企業ブランド、顧客基盤、収益基盤を実現するための「投資」に他ならない。Purposeは、企業が社会の一員として、顧客や投資家などの関係者と自社の関連する社会課題を共有し、その解決のために自社のビジネスを活用して利益を得るもので、企業の大変革を意味する。

ハーバードビジネスレビュー10月号のテーマは「Purpose Branding-そのビジネスは何のために存在するのか、どうすれば社会に貢献できるのか」。ナイジェリアの野菜を食べない食習慣による貧血の多発と戦う、クノールの鉄分強化ブイヨンの発売と野菜摂取を促すキャンペーン、米国および世界の健康問題と戦う(方向に舵を切る)ペプシコの糖類・塩分・脂質を減らした健康的で栄養価の高い飲料製品へのポートフォリオ転換(38%(2006)→50%(2017))、大手ビールメーカーによる、飲酒による女性への暴力撲滅キャンペーンとノンアルコール・低アルコールビールへのシフト、など、世界の経営者は確実に変化を迫られている。

Purposeは、M. E. porter教授のCSV(Creating shared value)や近江商人の三方よしと通じる話だが、どちらも少し問題がある。ポーターのいうCSVは、企業の成長・利益拡大を目的としており、Purposeは企業が利益を獲得する新しい手段でしかない。自社の利益に制限を課すような倫理性・道徳性を提案しているわけではない。一方、三方よしという言葉は強欲さへの戒めにはなっても、社会の課題を(社会に議論を巻き起こしたりしてまで)積極的に提案し、より良い社会を築いていくという社会課題解決の積極性まで含んでいない。

各々アメリカらしい、そして日本らしい概念だと思う。

強欲な利益拡大でも、世間に合わせる事なかれ主義でもなく、自分たちはこの社会をどう変えていくべきだと考えるのか、あなたの事業のPurposeは何か?今、経営者の哲学が問われている。

ハンブル・リーダーシップ


社会の変化のスピードが激しく、自分が経験したことのない状況にも関わらずスピーディーかつ適切な判断を求められる今の時代、リーダーシップを発揮するのは簡単なことではありません。

ハーバードビジネスレビュー7月号では、そんな悩めるリーダーたちのヒントになる新しいリーダーシップスタイルが紹介されていました。

MITスローン経営大学院のSchein教授が提唱する、
【ハンブル(謙虚な)リーダーシップ】 

リーダーシップをリーダーとフォロワーの関係性で捉えることをやめて、もっと言うと、そもそもの仕事上の役割という関係性を超えて、同じ目的を共有する対等な個人として、ともにプロジェクトの成功を目指します。具体的には、自分では理解できない部分・判断できない部分を素直に伝え、部下(と、言うよりはむしろ対等なチームメンバー)に質問して彼らの知見・意見を求め、議論しながら進めることでプロジェクトを成功に導く。そして、失敗した時にはすべての責任を取る。これが、ハンブル・リーダーの姿、なのだそうです。

チームメンバーの性別、国籍が様々で、年上の部下をマネジメントすることも珍しくなくなった今、リーダーシップのスタイルも変えていく必要があるのは誰もが感じるところです。とは言え、突然アメリカのドラマのようなカジュアルな関係を作るのは難しく、既存の日本的空気を壊さずにスムーズにリーダーシップスタイルを変化させていく方法は誰もが悩むところ。

このハンブルリーダーシップは、日本社会の感覚にもフィットしやすいように感じます。会社の人間関係に当てはめて考えると、これまでの統制型組織の常識から逸脱するのでイメージしにくいですが、個人の関係に当てはめると、至極当然のことを言っています。夫婦や友人との関係は、まさに、自分は完全ではないという謙虚な気持ちをもち、相手を信頼し、尊重し、一緒に考えてより良い答えを導くものです。人として当たり前のことなのに、私たちは、なぜか会社では人間らしくいられないのかもしれません。

興味持たれた方、Schein教授の最新の著書で一緒に学んでみませんか?私もこれから読んで勉強したいと思います^^

PDCAから高速仮説・検証経営へ

ハーバードビジネスレビュー6月号のテーマは「実験する組織」

顧客ニーズが多様化し、次々に変化する中で、じっくり調べてPDCAを回して修正に取り掛かるのでは遅すぎます。ではどうするか?
そこで出てくる考え方が、仮説と検証を高速で回す経営スタイル。
ご存じの方には、「アジャイル」というとピンとくるかもしれません。ざっくりいうと、「走りながら考えてどんどん修正する」スタイル。

国内外の大企業は、そんなことはわかっているけれども、変わりたくても変われないのがホントのところ。既存の階層組織と秩序だった企業文化という、優れた製品を生み出す強みが、環境の変化によって足枷に変わってしまっているのです。

方や、中小企業の皆さんは、トップダウンでなんとか会社の向きを変えられる柔軟性のある組織。新しいことにチャレンジしつつ、仮説・検証を高速回転させることも、トップの腹づもり一つで可能ですね❗️

ただし、注意したいところは、やりっぱなしでなく検証すること、そして、検証結果に基づいて経営判断を行うこと。ビジネスのアイデアはすぐに小さく試してみて、結果を見て本格的に取り組むかを判断します。カンや思い込みに頼るよりも、データに基づく的確な判断ができますね。

ビジネス実験と言ってもA/Bテストなどのデジタル実験だけでなく、常連客に試してもらう、SNSに掲載して反応を見る、期間限定で取り組む、など、自社に合わせた取り組みが可能です。

大きなリスクを取るよりも、小さなリスクをたくさんとって、大きな果実を得たいですね🍎

https://www.dhbr.net/articles/-/6729

顧客満足度の測り方

ハーバードビジネスレビュー5月号は、一冊まるごと「顧客」がテーマでした。どの企業も顧客満足度向上に取り組んでいますが、アメリカで行われた調査の結果、残念ながら企業の認識と消費者の認識には大きなギャップがあることが分かっています。

自社がお客さんを本当に満足させているのか?不安ですね。実は、簡単な指標でチェックすることができます。

この図は、米国の有名なコンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーが開発した「NPS®(ネット・プロモーター・スコア)」という指標です。名前は難しそうですが、中身はシンプル。お客様へのアンケートで、「○○を家族/友人/同僚にすすめる可能性はどのくらいありますか?」という質問に対して、10点満点で答えてもらいます。
結果を0~6点は批判者、9~10点は推奨者として集計し、下の式にあてはめます。

NPS®=推奨者の割合(%)ー批判者の割合(%)

指標を決めて数字で「顧客満足度」を測ることで、客観的な数字で結果を共有することが可能になり、効率的に改善の取り組みを進められます。

毎回お客さんにアンケートを書いてもらうわけにはいかないので、新商品/サービスのリリース時に合わせて実施するなど、上手に取り入れて、強固な顧客基盤づくりに役立ててください。

以下サイトにわかりやすい説明がありますので、ご参照ください。
出典:NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社HP
https://www.nttcoms.com/service/nps/summary/