カテゴリー: 書籍

マーケティングとは、ブランディングである。

具体的な事例とわかりやすい文章でブランドの本質を伝える本書。ブランディング22の法則。

世界の様々な有名企業の事例を学べて、いつのまにかマーケティングの専門家的「ブランディング」発想が身について、読み終わる頃には「さて、じゃあうちのブランドにはどんなイメージを持たせようか…」と頭が回り始めることでしょう。

著者がブランディング戦略専門のコンサルタントなだけあって、実務家の視点と言葉でマーケティング理論の本質を伝える稀有な一冊です。「ブランディングって、、、ロレックスやルイ・ヴィトンやレクサスの世界の話しでしょう?」と、思った方には必読です。

近所のスーパーマーケットの中で勝敗を決めているものこそブランディングなのです 。

従業員の自主性を引き出す方法

「エンパワーメントは一日にして成らず」(意訳)
という、自律型組織づくりの教科書のご紹介。

従業員に自主的・意欲的に仕事をしてもらうことは、人材の限られた中小企業がみな理想とするところです。権限移譲、ビジョンの共有、よくほめる?etc…やるべきことがなんとなくわかるようで、いざ取り組もうとしても全く成果が見えてこない。。。大半の企業がもどかしい状況にあるのではないでしょうか。

同じ状況から、星野リゾートの星野社長が自律型組織を築き上げた指南書が、こちら。

小説仕立てになっていて、読者は主人公の経営者と一緒に自立型組織づくりの手順とポイントを学べます。
そのポイントとは。。。?

1.客観的な経営指標情報の共有
→顧客満足度の調査結果や客数、客単価、商品の利益率、恥ずかしくても店舗損益情報まで!こうした情報が、従業員が自分で考えるためのベースとなります。

2.ビジョンと個人のミッションの明確化
→会社は、何のために存在しているのか、その会社の存在目的実現のために、自分はどんな役割を果たしていくのか。ここに筋が通ると、スッキリします。

3.組織構造をピラミッドから逆ピラミッドに移行する
→長期戦であり、経営者としては、焦る自分との闘い。覚悟と忍耐が必要。上下意識の強い日本の場合、フラットな人間関係の素地をつくることが、まずは必要です。

ちなみに、日本語タイトルは、なぜか「1分間エンパワーメント」ですが、原書は「エンパワーメントは1分じゃ無理(直訳)」、と、真逆のタイトルです。組織改革は一朝一夕にはできませんよね。
ストーリー仕立てで読みやすいですが、中身は深く、示唆に富む良い本ですよ^ ^

ハンブル・リーダーシップ


社会の変化のスピードが激しく、自分が経験したことのない状況にも関わらずスピーディーかつ適切な判断を求められる今の時代、リーダーシップを発揮するのは簡単なことではありません。

ハーバードビジネスレビュー7月号では、そんな悩めるリーダーたちのヒントになる新しいリーダーシップスタイルが紹介されていました。

MITスローン経営大学院のSchein教授が提唱する、
【ハンブル(謙虚な)リーダーシップ】 

リーダーシップをリーダーとフォロワーの関係性で捉えることをやめて、もっと言うと、そもそもの仕事上の役割という関係性を超えて、同じ目的を共有する対等な個人として、ともにプロジェクトの成功を目指します。具体的には、自分では理解できない部分・判断できない部分を素直に伝え、部下(と、言うよりはむしろ対等なチームメンバー)に質問して彼らの知見・意見を求め、議論しながら進めることでプロジェクトを成功に導く。そして、失敗した時にはすべての責任を取る。これが、ハンブル・リーダーの姿、なのだそうです。

チームメンバーの性別、国籍が様々で、年上の部下をマネジメントすることも珍しくなくなった今、リーダーシップのスタイルも変えていく必要があるのは誰もが感じるところです。とは言え、突然アメリカのドラマのようなカジュアルな関係を作るのは難しく、既存の日本的空気を壊さずにスムーズにリーダーシップスタイルを変化させていく方法は誰もが悩むところ。

このハンブルリーダーシップは、日本社会の感覚にもフィットしやすいように感じます。会社の人間関係に当てはめて考えると、これまでの統制型組織の常識から逸脱するのでイメージしにくいですが、個人の関係に当てはめると、至極当然のことを言っています。夫婦や友人との関係は、まさに、自分は完全ではないという謙虚な気持ちをもち、相手を信頼し、尊重し、一緒に考えてより良い答えを導くものです。人として当たり前のことなのに、私たちは、なぜか会社では人間らしくいられないのかもしれません。

興味持たれた方、Schein教授の最新の著書で一緒に学んでみませんか?私もこれから読んで勉強したいと思います^^

普通の会議をSuper MTGに!

緊急事態宣言が解除され、再び会議の予定も増えそうですね。

Web会議への移行でこれまでの会議の常識が破壊された今、これを好機と捉えて会議の効率性アップに取り組んでみてはいかがでしょう?

科学が暴くミーティングの真実を記した本書

「Super MTG」(スーパーミーティング)

は、科学的なエビデンスをもとに、無駄なミーティングを生産性の高い”super meeting”に激変させるヒントを教えてくれます。
中でも面白かったのが、、、

◆会議予定時間は短く
30分刻みの切りの良い時間を設定すると、会議は時間枠いっぱいまで続く(パーキンソンの法則)。分単位で必要時間を決めて、さらに5~10%短く設定することで、適度なプレッシャーがかかって生産性があがる。

◆メンバーは7人まで!
7人を超えると、一人増えるごとに効果的な決断力が10%低下。

◆座る場所を毎回変える。
ミーティングに新鮮な空気と刺激を提供して、惰性やマンネリ化を回避する。

◆時にはみんなで黙って書く
ブレストよりも、会議の席で黙って各自アイデアを紙に書くほうが、アイデアの数も質も優れている。書くことで必要な意見が埋もれずに収集できる。

著者は、15年以上にわたってミーティングに関する調査を行っている、ノースカロライナ大学の教授。
本書で提示されるミーティング効率化の解決策は、科学的なエビデンスとともに紹介されていて、即役に立つ上に、読

み物として純粋に面白いですよ☆

『星野リゾートの教科書』

ショーペン・ハウエルの「読書について」には、「大衆本は読んでも無価値どころか有害だ。後世に残る良書を読め。」という趣旨の内容が辛辣な言葉で記されています。170年経った今も事情は同じですが、膨大なビジネス書の中から良書を探し当てるのは相当難しい。。。
経営者のそんな悩みに答えてくれるのが、星野リゾート社長、星野氏が、会社経営の教科書として愛読する名著30冊を紹介する本書。

各書籍から星野社長が学んだエッセンス、実践内容をとてもシンプルにまとめており、字が少なく、非常に読みやすいです。経営学など勉強したことがなくても、「経営学の本を、地方の中小企業経営に生かせるのか💡」と、面白くスラスラ読んでもらえる内容です。さすが星野社長^ ^読者のモチベーションコントロールも考えている。
ついつい冗長になる私とは違います(笑)

星野社長は慶應大学経済学部卒業後に米コーネル大学ホテル経営大学院で修士課程を修了されており、経営学の名著のエッセンスをしっかりご自身で咀嚼され、実践されています。会社経営に取り組んでいる方にこそ、出会っていただきたい一冊です。

戦略、マーケティング、リーダーシップの三章に分かれているので、きっと、自社で今抱えている問題の糸口が記された一冊が見つかりますよ!
次の週末の課題図書にいかがでしょうか?

マーケティング成果の測り方

マーケティングの成果をどう評価すべきか、15の具体的な指標を提示している本書。
 
中小企業でのマーケティングに今すぐ活用できる内容も含まれています。特に以下の内容は多くの企業にとって得るものがありそうです。
 

-長期的視点のマーケティング活動
業績上位企業は、マーケティング予算のより多くをブランディング・顧客との関係構築・ITインフラに振り分けている。一方、下位企業はより多くを需要喚起(クーポンなど)に振り分けている。

-マーケティングの黄金指標
顧客満足度は、「友人・同僚にこの商品・サービスを勧めたいですか?」という質問で測る。アンケートなら、冒頭に置くことで、より正確に測れる。(最後では、アンケート回答に飽きて雑になるため。)

-アジャイルマーケティング
そのまんま、アジャイル(=すばしっこい)マーケティング。マーケティング活動と並行してデータをとり、その結果からマーケティングプランを修正していく。本書曰く、失敗を示唆するデータを早めに察知してプランを修正することで、マーケティングの成果は5倍になる。
 

マーケティング予算やブランディングと言うと大企業の話のように感じますが、経営者の時間と評判に言い換えるとグッと身近になります。目の前の販促活動に割く時間を、自社の特徴・魅力は何だろうかとじっくり考える時間に変えることで、自社の評判を高め、1年後の業績を大きく伸ばせるかもしれません。

2019年のベストブック

350頁のほぼ全てが、社会学・哲学の50のコンセプトに関するエッセンシャルなお話で占められている稀有な一冊。著者は、紹介する各著を当時の時代背景も含めて学び、咀嚼してしっかりと自分のものにした上で、そのエッセンスだけを分かりやすく解説してくれています。

実学志向のビジネス書のようなタイトルですが、知識と技術のみに終始せずにリベラルアーツを学ぶ重要性を教えてくれる素晴らしい一冊でした📖